いよいよ始まったアフターコロナ1.0
2020年5月14日(木)、39県での緊急事態宣言の解除が正式決定されました。政府によるこの発表を額面通り受け取る方は少ないでしょうが、むろん新型ウイルスの脅威が消え去ったわけではありません。
これから訪れるのはアフターコロナあるいはウィズコロナ時代。
3密環境は少ないと当初考えられていたキャンプ場でも長距離移動に伴うリスクや共有施設の衛生面などが危惧され、営業自粛に追い込まれていったことは今さら言及するまでもないでしょう。
ではこれからのキャンプ場運営に求められるウイルス対策について、グランピングのパイオニアである伊勢志摩エバーグレイズの取り組み事例を参考にしてみたいと思います。
伊勢志摩エバーグレイズのウイルス対策
まずご存知ない方のためにご説明しておくと、伊勢志摩エバーグレイズは一般的なキャンプ場とは少し方針が異なります。区画整理されたいわゆるオートキャンプも可能ですが、メインはあくまでもグランピング施設。
よって予算も労力も費やせる余裕のない公営キャンプ場などでは到底真似できないことも多くあるはず。
しかしながら、これから試行錯誤していく指針のひとつにはなるでしょうし、キャンプ場運営の参考にあるいは利用者の立場から声をあげていく(攻撃的なクレームではなく、あくまで提案というカタチで)、というもの建設的ではないでしょうか。
密集の回避
先述したように伊勢志摩エバーグレイズのような完全予約制の区画サイトのみ、というキャンプ場は極めて少数派でしょう。
有人のキャンプ場なら入場制限などを実施してある程度の間隔をもうけることも可能でしょうが、管理人不在の無料キャンプ場ではこれも難しい。
また全体のキャパを減らす以上、経営維持のために客単価をあげざるをえないことも、我々ユーザーは覚悟し受け入れなければなりません。
その副次的効果としてゆったりとしたスペースで快適なキャンプを楽しむことができるのですから、これはこれで前向き捉えたいものです。
チェックイン等の手続き
伊勢志摩エバーグレイズでは代表者のみが手続きを行うようお願いされているようです。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
自己申告ではありますが、体調や海外渡航歴の申告も。併せて客観的に判断のしやすい体温チェックもしたほうがいいかもしれませんね。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
加えてチェックインの受付開始時間になると窓口が混雑するので、スーパーのレジみたく等距離が確保できる工夫も必要となってくるでしょう。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
清算に関してもこの機会に多くのキャンプ場がキャッシュレスに踏み切っていただきたいもの。
キャンプ場管理者の皆様におかれましては、現金を持ち歩くのって今どきストレスに感じる層も多くいるってことを認識いただきたいのです。もちろん衛生面から現金を触らないほうが良いってのもありますし。
関係ないけどサイゼリアから足が遠のいているのもそんな理由だったり。ともかくpaypayあたりならQRコードを置いておくだけでいいので、是非。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
個人的に気になるのは施設やルールの説明用に分厚いファイルを渡されるキャンプ場があるのですが、あれ要ります?
返却するのも面倒だし。
公式サイトに記載していただければいいと思うんですよね。
キャンプ場ですからキャリア通信の弱いエリアもあると思うので、そこはせめて管理棟周りだけでもWi-Fiを飛ばしてください。
共同施設の換気
これは密閉空間を作らない配慮。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
炊事場は東屋のような構造が多いので、さほど問題なさそうですが、トイレやシャワー室、管理棟などはこれに当てはまらないところも多くあるでしょうね。
雨風が強ければ窓を閉めざるをえないでしょうし、夏場は虫対策も並行して考えなければならない。
ドアノブや蛇口など、直接手に触れる箇所については管理者によるこまめな消毒作業が求められるでしょう。ただし最終的には利用者自身の自己防衛に頼らざるをえない場面が多くありそうです。
ゆえに、こうした背景から消毒スプレーの常時設置もスタンダードになっていくのではないでしょうか。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
当然こうした対応にもコストが発生しますから、これまで通りの利用料金というのはやはり現実的ではないと考えましょう。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
滞在利用者のマナー
自サイト以外でのマスク着用を呼びかけ。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
これはまあ、キャンプ場というか日常生活の中でも当たり前になりつつありますからね。
特筆すべきことはないでしょう。
周辺の観光施設や買い物について
個人的に「おぉ、ここに言及したか」と思ったのがコレ。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
スーパーや温泉などキャンプ場周辺のエリアでお金を落とすのもキャンパーの務めだと勝手に考えていたので、これはまあアフターコロナ初期の厳戒対応だと解釈しています。
キャンプという一種の旅行によってウイルス拡散のリスクを減らすことが第一の目的ということでしょう。しかしながら地元の食材やグルメ、観光を楽しむのもキャンプの醍醐味。
またそれが経済活動の好循環にも繋がっていくわけですから。
これは徐々に(具体的には数ヶ月かけて)緩和していってもいいのではないでしょうか。
まとめ
他にもバンガローやキャビンといった宿泊施設をはじめ、レンタル品など不特定多数の方が利用するものや場所にはより一層ユーザーはナーバスになるでしょう。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
よってどのような対策をしているのか掲示するだけでなく、アクション自体を可視化することが運営側に今後求められるはず。
こうしたひとつひとつの積み重ねが、衛生対策のしっかりなされたキャンプ場だという信頼関係を築いていくことでしょう。
もちろん運営側の努力だけでなく、利用者である我々もトイレ、炊事場、シャワー室といった共有施設をなるべく汚さないように使う配慮が求められます。
ただそうした高い衛生リテラシーを全員に求めることは非常に困難。
ですので、管理者によるこまめな消毒作業や消毒スプレーの設置といった新たなコストは利用料金の値上げというカタチに反映せざるを得ないでしょう。
出典:伊勢志摩エバーグレイズ
繰り返し述べていますが、今後もキャンプを楽しみたいのなら、こうした値上げは感染リスクを減らす保険代なのだと、我々ユーザーも考え方を切り替える必要がありそうです。


