衝撃的なニュース
現場となったのは長野県松本市上高地のキャンプ場。
2020年8月8日の晩、日付が変わろうとしていた時刻にそれは起きました。なんと一人でテント泊をしていた50代女性が熊に襲われたのです。それも驚くべきことにテントごと。
調べによれば、熊はテント内にあった食料を狙ったのだとか。幸い女性の命には別条がなかったものの、右足を10針も縫う大怪我を負いました。尚、同キャンプ場は熊が捕獲されるまで一時閉鎖される模様。
小梨平キャンプ場で熊が出て人を襲ってしまいました。ソロキャンしてた女の人のテントを襲いトイレの裏に持って行かれたみたいです。テントの中に食料があると熊が学習したみたいです。その熊はまだ捕獲されてません。5~6頭出たみたいです。
今日から閉鎖です。#上高地#小梨平キャンプ場#熊#閉鎖 pic.twitter.com/4zySLSped3— mika (@mika_19830901) August 8, 2020
キャンプに限らず、釣り、登山などアウトドア愛好家にとって他人事ではないこの問題。かく言うわたし自身もこれまで真剣に向き合おうとはしてきませんでした。そこで今回の事件を機に我々が学ぶべきこと、対策できることをじっくり考えてみたいと思います。
と、その前に熊に関する基礎知識を。
答えは北海道に生息しているのがヒグマ、そして本州以南で生息しているのがツキノワグマなのです。
つまり今回、上高地に現れたのはツキノワグマだったというわけです。
野外活動における熊対策
熊鈴の効果
山歩きをしていると、頻繁に熊鈴と呼ばれるものを腰のあたりにぶら下げた方とすれ違います。
チリンチリンと音がして遠くに人の気配があることを教えてくれるアレ。
あるいはラジオから音を鳴らしながら歩いている方も一定数いらっしゃいます。
これらの音が警戒心の強い熊を遠ざける効果がある(と、されている)わけですね。
ただ熊鈴を付けていても熊が現れたら効果がなかったと証明されますが、熊鈴のおかげで熊が立ち去ったことを証明するのってかなり難しいですよね。また一括りに熊と言っても個体差や性格の違いなどによってその行動パターンも同一であるとは言い切れません。
よってある種のお守りとして携帯されているのかな、とも考えられますが、危険の多い山中で己の存在を音でアピールできる数少ない貴重なツールであることは間違いないでしょう。
食料の保管方法
今回の事件で浮き彫りにされた食料の保管問題。
テント内で食料を保管するのってわたしもこれまで当然のように行ってきましたが、実はこれとっても非常識な行動だったのです。
とりわけ北米では熊の生息地で野営する際、ベアキャニスターなどと呼ばれる食糧保存容器の利用が義務付けられているのだとか。
ですからテント内で食料を保管するなんてことは、愚の骨頂だと指摘されても仕方のない行為だったのです。
知らんかったわ!
【参考記事】
ただ日本国内ではベアキャニスターの概念がそもそもありませんし、入手しようとしても基本的には個人輸入する以外に選択肢の少ない状況となっています。
オートキャンプであれば、例えば熊でも壊せないとされるYETIのクーラーボックスに食料を入れ、テントから離れた位置に置く、というのが今後の最適解になるでしょうか。
出典:A&F
考えられるのは、例えば袋に入れた食料をテントから離れた立ち木にぶら下げておく。あるいは地面に穴を掘って、そこに埋めて石などでカモフラージュする、といった程度でしょうか。
正直、どちらも気休め程度の効果しか望めないような気もしますが、テント内で食料と同居しないことが命を守るポイントだとすれば、現状このくらいしか思いつきませんでした。
とは言え、登山では食料のロストは命の危険にも関わりますから、これが最適解だとはとても言えません。今回の事件を教訓とする日本版ベアキャニスターの開発が望まれます。
熊よけスプレー
様々な対策を講じても熊に出会ってしまったら、、、
あまり考えたくはありませんが、可能性として避けられない以上は備えておかねばなりません。
いくつも種類があるようですが、わたしは使ったことがありませんので効果のほどはいずれも不明です、悪しからず。
問題は熊と正対した時、冷静にこのスプレーを構える胆力があるのだろうかってこと、、、
ちなみに成分は催涙スプレーの一種のようですが対人よりも当然強力なので、慌てて自分に向けて発射してしまわないように気を付けましょう。
まとめ
とゆーわけで、北米に比べて熊に対する警戒心のまだまだゆるい日本だからこそ起きたとも言える今回の事件。上高地の比較的栄えたエリアでも油断できないという、大きな教訓を得ることができました。
テント泊の新常識、それは、、、
寝床と食料の保管を一緒にしてはいけない、ということです。
ベアキャニスターが容易に入手しずらい現状は難しいこともありますが、熊の目撃情報のあるエリアではこのことを念頭の置いた行動を心掛けたいものです。



