戦争が生んだ逸品
一体いつから軍放出品が野営愛好家から重宝されるようになったのかを私は知りません。
が、おそらくYouTubeの海外ブッシュクラフト動画によって徐々にその認知度を高めていったのだと推察します。
今回取り上げるのは人気度において米軍パップテントと双璧を成すポーランドポンチョ。
戦争という悲劇が生んだ道具が時を越え、国境を越え、政治思想を越えて純粋に道具としてのみ愛されていく、という現象が非常に興味深く感じます。ちなみに私はミリタリーマニアというわけではありませんので、あくまで野営道具としての解説となります。
ポーランドポンチョの構造
サイズ
本来の使用目的が雨具ですので、人が身に着けることを前提としています。
しかも軍人が装備の上から羽織るのでかなり余裕を持たせた大きさ。
出典 Amazon
その上、おそらくS、M、Lという意味合いだと思うのですが、このポンチョにはサイズが3種類存在します。サイズの見分け方は裾部分のハトメの数で判別が可能です。
私が所有するポンチョは穴2つと穴3つのサイズ違い。それでもこのように問題なく二枚をつなぎ合わせて使用することが出来るのです。
接続方法
先述したように、このポンチョは2枚をつなぎ合わせることで三角錐の空間を作ることが出来るのですが、それがボタンで留めるというこれ以上ないアナログな方法。
例えサイズが違ってもボタンの位置や間隔がすべて共通なので使用するのに不具合はありません。
しかもアナログであるが故に壊れても簡単に修復可能なわけですね。
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生地
コットン100%、元々は船舶の幌、身近なところではトートバッグやトラックシートなんかに使われる丈夫な生地ですね。おそらく号数(生地の分厚さを測る目安の数値)で言うと9号~8号くらいにあたるんじゃないでしょうか。
なので燃えないわけではありませんが、ポリエステル素材に比べて圧倒的に火の粉に強く、経験上も少々の雨なら弾きますし、1~2ミリの雨量なら生地が水分を含んで膨張し雨の侵入を防いでくれます。こうなるとより防炎性がアップするでしょうね。
よってテント内でどっしり腰を据えて目の前で焚き火調理なんかが楽しめてしまうわけです。寒がりな私にとって、これが冬場はとっても助かるんですよね。
設営方法
ポーランドポンチョは八角錐なのでペグを最低でも8か所打つ必要があります。
- ポンチョを広げてペグを打つ。
- ポールを立てる。
以上の2ステップで完了してしまいます。
よって撤収時も楽々。
ただでさえワンポールテントは耐風性能が高い上に、ポーランドポンチョは背が低いので倒壊するリスクも低め、と言っていいでしょう。
近頃はポールが付属せず生地だけで販売されていることが多いので、お持ちでない方はこのあたりのポールを別途購入するのがおすすめです。
パップテントとの比較
ポーランドポンチョの特徴として腕を通す穴がデフォルトで開いているので、そこから薪ストーブの煙突を出して暖をとるなんて光景もよく目にします。
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出入口もパップテントはファスナー加工する方が多いのですが、ポーランドポンチョの場合、活動中は開放しておき就寝時のみ裾をバンジーコードのようなゴムロープで閉じてやることでボタンをいちいち開け閉めしなくても出入りがしやすくなるのです。実はこの方法に落ち着くまでは事務用のクリップなんかで代用していました。なんせボタンが面倒なのです、、、
こうした理由から個人的には購入後の加工が一切不要なのでポーランドポンチョ推しなのです。
オリジナル・キャンプギアの予告
これだけ持ち上げてきたポーランドポンチョなんですが、不満がないわけではなくて、もう少しだけ広かったらな、という贅沢な悩みがあったのです。で、ある時考えたんですね。これボタンで接続しているだけだから、長方形の布にボタンを付けたら拡張出来るんじゃないか、と。
これはブルーシート素材のもので代用していますが、イメージとしてはこんな感じです。
あれ?何かに似ていますね。って言うかほぼパップテントですよね。
そう、私が今計画中なのはこれをコットン素材で製作して商品化し販売してしまおう、というもの。既に現在アウトドアに造詣の深いハンドメイド作家さんに依頼してプロトタイプを製作していただいています。
この顛末はまたおいおいこちらでご紹介していきますが、ご興味ある方はTwitterをフォロー頂くといち早く情報をお届け出来るかと思います。

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おしまい。
2019年9月2日(月)追記
格安アウトドアメーカーとして知られるBUNDOK(バンドック)さんからこのようなテントが発売されました。
軍幕に興味はあるけど「快適に過ごせるだろうか?」「加工が面倒」なんて二の足を踏んでいた方にこそおすすめです!