2016年4月30日(土)
それがわたしにとっての初ソロキャンプとなりました。
そもそもキャンプという行為自体、小学生時代の林間学校でしか体験したことがなく(しかもバンガロー泊だった)、プライベートでのキャンプも同月の上旬に家族ではじめて実施したのです。
その時の様子。こんな写真くらいしか残っていませんでした。
当初は家族でBBQでもしたいなぁという程度のゆるふわアウトドア志向だったのですが、ネットで情報収集するうちにソロキャンプなる遊び方の存在を知り、いつしかこれに憧れを抱くように。
自他共に認めるコミュ障の権化のようなわたしにとって“ひとりキャンプで食って寝る”という遊びにはこれ以上ない適正を嗅ぎとったのです。
当時わたしの中でのソロキャンプ・アベンジャーズはナチュログやYouTubeの中に大勢いらっしゃいました。
時はまさにソロキャンプ・ブーム夜明け前。
手の届く範囲で少しずつ道具をかき集め、時に妻の罵声を浴び、下唇を噛みしめながらプルプルと膝を震わせてこれにじっと耐え、来るべき時に備えたのです。
はじめてのテントはバンドックのソロドームでした。
1万円を下回る価格ながら造りはしっかりとしており、魚座型のインナーフレームは美しく、今でも素晴らしいテントだったと断言できます。
初めてのソロ、移動手段としてあえて選んだのは50ccのリトルカブ。排気量こそ蕎麦屋の出前レベルですが、バイクにキャンプ道具を満載した心境はまさに旅人。
「ゆるキャン△」の志摩リンも水色の原付に乗っていましたが、これに関しては完全にわたしが元祖であり、真の志摩リンはわたしだということは強調しておきたいファクト。
それではご査収ください。
これがソロキャンプ一年生、初回の恐るべき光景だ!
「お前は何がしたいんだ」という乱暴な言葉は野暮あるいは無粋というもの。ただちに飲み込んでください。方向性に迷いつつも目一杯背伸びしている様を慈母の心で見守っていただきたく存じます。
そうは言ってもブッシュクラフトへの憧憬が見え隠れするトナカイの角が如き即席ポール、こればっかりは返す言葉もございません。
どうぞ心ゆくまで嘲笑あそばせ。
コロナウイルスで鬱屈する日々に一服の清涼剤となれば、それに勝る喜びはないのですから。
でもね、こんな装備でも一晩無事に過ごすことは出来るのですよ。
SNSを覗けばお洒落な、あるいは洗練された無骨さに満ちたキャンプスタイルが溢れています。しかしながら誰もがそんなキャンプを目指しているわけではありませんよね。
あくまで自分が、家族や仲間たちが楽しく過ごすことが出来れば、時には快適でなくとも良いのです。むろんお洒落かどうかなんて二の次、三の次、東海道五十三次。
わたしはこのちょっぴり恥ずかしい思い出を振り返るたびに、いつでも新鮮な気持ちにトリップできます。
そして軽くえずきます。
直火でポークソテーなんぞ焼きながら眺めていた夕陽はまだ鮮明に瞼の裏側にこびりついています。
川沿いのホテルの宿泊者向けに打ち上げられたのであろう数発の大きな花火、あの日河原で見上げていたのはおそらくわたし一人だけだったはず。
今思えばなんと贅沢な時間だったか。
そうそう、棒ラーメンってやつもキャンプをするまで知らなかったのですよ。翌朝、燻製にした玉子とシャウエッセンを浮かべていただいたのも良い思い出。
またあの日のように、無邪気にキャンプできる日が来るといいですね。



