テンマクデザインのサーカスTCと言えば、テント界の歴史に燦然と輝く金字塔。
絶妙なサイズ感、落ち着いた色合い、自然な風合い、遮光性、設営しやすいワンポール構造、そのどれもが高次元でバランス良く融合されています。
そうしたクオリティを担保しているのが言うまでもなく、ポリエステルとコットンの良いとこどりをしたTC素材。
近年では完全にテントやタープの生地として市民権を得た感も。
しかしながら今回発表されたテンマクデザインの新作は、サーカスのアイデンティティとも言えるTC素材を捨て、あえてポリエステルに振り切ったものでした。
その名もサーカスST。
サーカスがただのポリ素材に!?と頭にいくつものクエスチョンマークが浮かんだ方も多いはず。
出典:テンマクデザイン
ご安心ください、あのテンマクデザインが無為無策でそんな真似をするはずもありません。サーカスSTの生地にはピグメント加工なる聞き慣れない処理が施されているのだとか。
ピグメントは水に溶けない色素のことで、特殊溶剤と顔料を使って生地を染色させる加工技術をピグメント加工(=ピグメントダイ)と言います。普通の洋服は染料を使って染色しますが、特殊溶剤によって顔料による染色を可能にさせます。
ピグメント加工による顔料は内部に染み込まず、表面にくっついているイメージです。洗うごとに色が剥がれ落ちルノで、絶妙な色落ち感を表現する際に用いられます。
ピグメント加工は他の加工技術と組み合わせて用いることで、より一層おしゃれな仕上がりになります。特に相性がいいのがヴィンテージ加工です。
ヴィンテージ加工は生地の表面を擦ったり日焼けさせたりして、全体に使い古したような加工を施す技術です。これに加えて、ダメージ加工とピグメント加工を施すことで、リアリティが増した味のある製品が出来上がります。
一般的には洋服の色染め方法のひとつとして浸透しているようですね。ヴィンテージ感のある風合いも特徴なのだとすれば、つるつるテカテカなポリ素材もまた違った雰囲気に感じることができるのかも。
ただ、こればっかりは実物を見てみないと判然としません。
公式の説明によれば、このピグメント加工によって通常のポリエステル加工よりも遮光性がアップしているのだそう。
出典:テンマクデザイン
STのメリット
ポリ素材となったSTバージョンのメリットのひとつとされる軽量化ですが、サーカスTCが総重量約10.8kgなのに対してSTは約8.4kgなので、劇的に軽くなったというわけでもありません。
いずれにしても車移動が前提のオートキャンプ向きですので、あまり恩恵を感じられる機会はすくないのではないかと考えられます。
ただし、もうひとつのメリットである価格に関してはかなり有効となっており、なんと税別24,000円という安さ。サーカスTCでも十分にリーズナブルだったとは思いますが、より手の出しやすい価格は素直に歓迎したいところ。
なんちゃってサーカスも散見される昨今、本家がこの価格ならあえて他を選ぶ必要はますますなくなっていきそうです。
出典:テンマクデザイン
サイドフラップが装備されたDXバージョンもはじめからラインナップされていますから、かなり迷ってしまいますよね。
出典:テンマクデザイン
発売は2020年10中旬以降と少し先ですので、これからゆっくり考えるのもいいでしょう。
それにしてもこのサーカスST、なんだか天一で「あっさり」を注文するかのごとき背徳感とむず痒さをおぼえるのはわたしだけでしょうか、、、
いや、たしかに美味いんだろうけどっていう、、、



