スノーピーク激おこ!村の鍛冶屋に届いた警告書から考えるアイデアの盗用問題

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事の次第

2020年7月9日、あるひとつのツイートがTwitterキャンプアカウント界隈を騒然とさせました。

当該ツイートが削除されているので要約させていただくと、

  • 村の鍛冶屋に対しスノーピークから警告書が届いた
  • 内容は村の鍛冶屋が製造販売するエリッゼステークはスノーピーク製ソリッドステークの模倣品ではないかという指摘
  • ゆえに即刻販売中止、および損害賠償などを請求するといったもの

 

これに対し村の鍛冶屋側の弁護士より、両社製品の区別、違いの認識がユーザーにあるのか意見を収集してほしい旨の依頼があり、村の鍛冶屋は独自のアンケート調査を実施。

しかしながら調査には客観性確保の視点に欠けている可能性があるとして、その後中止に至ります。

 

一体、両社の間で何があったのでしょうか。

いちユーザーである我々には知る由もありませんが、キャンパーさんの反応は比較的、村の鍛冶屋に同情的な意見が多くみられました。その多くが「今さらどうした?」「他メーカーには指摘しないのか?」「道具の特性上、ある程度似てしまうのは仕方ないのでは」といったもの。

なるほど、たしかにいずれの意見も同意できる部分はあります。とは言え、村の鍛冶屋には一切非がないのでしょうか。スノーピークが何に対して憤慨しているのか、過去の経緯も踏まえ改めて問題を整理してみましょう。

あっ、ちなみにわたしはどちらのペグも現役で愛用しております。

 

使い勝手の比較検証に関してはパイセン方の記事に詳しくありますので、ぜひご参考に。

エリッゼステーク vs ソリッドステーク 違いはあったか

SoomLoom 鍛造ペグ

各種鍛造ペグを比較してみました

警告はこれがはじめてではない

実はこの問題、今にはじまったことではないのです。

エリステもソリステもより切磋琢磨してこそ 不正競争防止?

エリッゼステークが某メーカーさんに脅される。

 

どちらも2013年8月末にエントリーされた記事。

つまり約7年前にも今回とほぼ同様の指摘を村の鍛冶屋はスノーピークから受けていたのです。

よって一部のツイートにあったようにスノーピークの社長が代替わりしたから、という指摘はうがった見方と言っていいでしょう。当時の騒動がどのように収束したのかは不明ですが、エリッゼステークがその後も継続販売されていることから有耶無耶になったものと考えられます。

村の鍛冶屋の品性とプロダクト問題

エリッゼステークよりもわたしが気になるのがハンマーの存在。

さあ決着をつけようじゃないか。SPペグハンマーVSアルティメットハンマー

 

木製のグリップに交換可能なヘッド、そして特徴的な赤いストラップ。

ペグ同様にハンマーという道具の特性上、姿かたちが似てしまうのは仕方ないとは言え、ここまでスノーピークに寄せる必要があるのでしょうか。

このあたりのモヤモヤに関しては同じような印象を抱く方もみえるようで。

いろんなペグと村の鍛冶屋のダメっぷり

 

また村の鍛冶屋の品性を端的に現わしていると思われる事例がこちら。

出典:楽天市場

これはエリッゼステークの商品説明にある画像のひとつ。

よくある競合製品の比較グラフなわけですが、伏字があからさまにスノーピークを示唆しているのは明白なわけです。いくらでも言い訳は可能だと思いますが、キャンパーなら誰だってそう察しますよね。

 

エリッゼステークがソリッドステークに引けを取らない傑作ペグであることはユーザーなら誰しも理解していることではありますが、こうした挑発とも思える品性を欠く表現はいかがなものでしょうか。

脳みそに汗をかきまくり、イノベーターとして業界を牽引してきたスノーピークがカチンとくる気持ちもなんとなく理解できます。豪快に翻訳すると「いや、お前後出しジャンケンで勝ったとか言ってんじゃねーぞ、このシャバ憎が!!パクリならパクリらしく隅っこでコソコソやっとけや!!」というのが本音じゃないですかね。

 

あとエリッゼステークって名前の語感がソリッドステークに近すぎるのも地雷源だったのかもしれません。あれ!?どっちがどっちだったっけ?って混乱を招いてもおかしくないかと。

 

まあでも、例えば思いっきりスノーピークのロゴを用いて村の鍛冶屋が商売しているなら完全にNGですが、今回のペグ程度はどうなんでしょうか。比較グラフの表現はともかく、模倣云々に関しては一般常識の範囲内であるようにも思えます。

ですから多くの方が「えっ!?怒るとこそこ?」となっているのかと。

二社間の問題に矮小化しないために

当サイトでもたびたび取り上げてきました、アウトドアギア業界の悪しき慣習であるアイデアの盗用問題

 

この問題が複雑なのはユーザーとメーカー間の認識にも大きな溝が横たわっているから。

クオリティの劣るコピー品だとしても少しでも安いものを欲しがるユーザーが存在するかぎり、志の低いコピー業者に大義名分を与えてしまう。すると本来、手にするはずだった売上がオリジナル品のメーカーに行き届かなくなり、引いては業界・ジャンルの衰退につながるというのがよく見聞きするロジック。

 

そう頭では理解できても、実際のところヘリノックスの1/3の価格で手に入るならって感じでいわゆる中華製パチノックスに手を染めてしまった方も多いのでは。

ええ、わたしだってそうです。

たかがキャンプ用のイス一脚に1万円オーバーって正気かよって当時思いましたからね。よほどのお金持ちじゃないかぎり、キャンプ道具一式を揃えようとしたらどっかで妥協せざるを得ないですよ、マジで。

 

だから駆け出しキャンパーにとってはパクリだろうがなんだろうが少しでも出費を抑えたい。すると功罪含めあながちコピー品も新規ファンの獲得に貢献しているのではないかと思えたり。いやでもアイデアにコストをかけている志の高いメーカーさんの気持ちを考えると簡単に許容してはいけない気も、、、

なんて一筋縄ではいかない問題でないことが伺えます。

 

極論、安かろう悪かろうなら自然淘汰されていくのでしょう。ところが今回のエリッゼステークはそうではなかった。なんなら本家を上回る支持を一部では得ていた。比喩としてややこしいですが、まさに出る杭は打たれる、となったわけです。

 

ただまあ2013年同様、今回もスノーピークさんのブラフじゃないかと個人的には思っています。村の鍛冶屋さんにはお気の毒ですがある種のスケープゴートにされたんじゃないでしょうか。今回の件でかなりドキッとしてるメーカーさんも多いでしょうからね。

できれば穏便に処理されるといいのですが、、、

 

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