アルペン「世界最大アウトドア店」に抱く野望
という記事が東洋経済オンラインに掲載されていました。
それを読んでちょっと気になったこと、思ったことをつらつらと。
View this post on Instagram
意識する対象について
記事の中で記者の方が2代目社長に対し
デカトロンやワークマンプラスをどのように意識していますか
と問うのですが、
これらとは向いている方向がまったく違う
と社長。
まあ、そうですよね。これって多分記者の方が経済の専門家ではあるけれど、アウトドアの専門家ではないのでしょう。だから質問のピントがちょっとずれてしまったんじゃないか、と感じました。
キャンプ好きな皆さんならお分かりだと思いますが、デカトロンやワークマンって言わばユニクロやZARAのように自前で商品を企画製造販売している存在なわけです。
他方、アルペンはPBの比率はぐっと低く、セレクトショップとしての色合いが濃いわけで。
だからと言ってアルペンがBEAMSやユナイテッドアローズ、SHIPSといったような人気セレクトショップに例えられるかと言うと、なんだかそれもしっくりこない。
なのでわたしがもしアルペン社長に質問するとしたらこうです。
なぜならテンマクデザインという超強力なPBを抱えるWILD-1こそがアウトドア・セレクトショップ界のBEAMS、UA、SHIPSに近い存在ではないのかと考えるからです。アルペン同様、リアル店舗を軸に据えながら幅広いブランドを取り扱いアウトドア愛好家から長年支持され続けるWILD-1という存在。とりわけ快進撃を続けるテンマクデザインというPBの企画開発力をどのように見ているのでしょうか。
WILD-1を訪問する、ということはすなわちテンマクデザインの実物を確認できるわけで、わたしなんかはそこに価値を感じるわけです。よほど近所の方でない限り、手ぶらで帰る強い意志を保てないですよね。これこそがWILD-1だけでしか体験できないもの。
ではアルペンでそれに似た体験は可能でしょうか。
なんてあたりを是非うかがってみたいものです。
リアル店舗の優位性
先日、ヨドバシカメラが石井スポーツを買収したことが話題となりました。
これによってヨドバシは今後さらにアウトドア・スポーツ部門を強化する体制を整えたことになります。消費者である我々には朗報でも、競合他社は戦々恐々といったところでしょう。
安売りをしない方針である(いまのところそう見える)アルペンアウトドアーズがこうした相手よりも優位に立つにはどうしたらよいのでしょうか。あるいはアルペンに限らずネットショップになく、リアル店舗にある強み、と言いかえてもいいでしょう。
それはやはり人でしかない、というのがわたしの仮説。
一円でも安ければどこで買ってもよいこの時代、誰から買うか、という選択肢は我々消費者が握る目に見えない投票券のようなもの。よって、最安値でなくともどうせ同じような金額ならあの店のあの人から買おう、と思わせることが出来るか、それが肝要だと思うのです。
商品と看板の間に人の顔を思い浮かばせること、これが出来たらアルペンアウトドアーズはもっと強くなんじゃないかなー、なんて思いました。
でも、そこに暗い影を落とすのが先般の早期退職の一件ですよね。
40~50代の従業員が去っていった事実を今の20~30代の従業員はどう思ったのか。
どれだけがんばっても、いずれ会社の経営状況次第で、、、と考えるのは決して不自然なことではありません。
スノーピークに学ぶ
スノーピークウェイというイベントがあります。
これはアウトドアメーカーのスノーピークがユーザーとコミュニケーションを深めることを目的としたイベントで、1998年から開催されています。このイベントには店舗スタッフのみならず、社長以下経営陣全員が参加してユーザーの声に直接耳を傾けます。
そして青空の下で食事を共にし、焚き火を囲み、ときに他愛もない会話を楽しむ。
View this post on Instagram
当然お互い人間同士、そこには情が生まれるでしょう。そうやって地道にいわゆる太い客を繋いできたわけですね。
言うなればファンミーティングなわけですが、こうした泥臭い活動こそリアル店舗に残された活路ではないかと思うのです。イベントを通じて仲良くなったスタッフさんが働く店舗へまた会いに行こう、その人の話を聞いてみよう、そしてその人から買おう。
そんな幸福な関係性を築くことができたらWILD-1におけるテンマクデザイン以上の価値を感じることが出来るかもしれません。ともかく、アウトドア方面へ面舵いっぱいにきったアルペンの動向に今後も注目して参りたいと思います。
おしまい。